1.地張り
板に染める生地を張ります
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| 一反の半分の長さの生地を張ることのできる板(厚さ約2㎝×幅40㎝強×長さ)約7m)に薄く糊を塗って白生地を張ります。表裏に張って一反分です。 空気が入ったり波打たないようにピシツと張ります。 染板は工房で見るとそうは感じませんが、実は7mはとても長い。6畳のお部屋が縦3.6mですから、その倍の長さです。 |
2.型付け
型紙を一晩水につけてよく伸ばしておきます。 それを生地の上に置いて防染糊をヘラで塗りつけていきます
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型紙は仕上がった時に白く抜かれる柄の部分が彫られています。ですので、この白く残す部分が地色で染まらないようにするため、生地の上に型紙を置いて、全体に防染糊を塗ることで、彫られた部分(白く残す部分)のみ生地の上に糊がおりるということになります。
※←糊が置かれた状態です。このグレーの部分が染めあがりには白く抜かれる部分になります(左写真) |

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型紙は柄によっても違いますが、長さは約20~30㎝ぐらいです。一反12~13mに糊をおくには数十回の型紙送りを繰り返さなければなりません。この時、柄の継ぎ目をぴったり合わせることが必要です。これがとても難しい作業です。型紙には柄の継ぎ目の端っこのラインに「星」という小さな穴が2~4個あけられています。型紙を送る時に、前の型紙の「星」と次の型紙の「星」をぴったり合わせることができれば、柄がきれいに繋がります。
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型紙は一反の型つけが終わるとまた水できれいに糊を洗い落としてかわかして保管します。型紙は強靭な紙と言っても、やはり紙です。染めの職人さんたちは、型紙を大切に丁寧に、傷がついたら補修して大事に大事に使っています。 それでも、1枚の型紙で、壊れやすいものだと10反ぐらいで消耗してしまいます。当店には役目を終えた型紙を保管しています。とてもがんばった型紙たちです。 |

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板は70cmぐらいの高さの台の上に置きます。型つけをするのに丁度よい高さなのですが、ずっと腰をかがめての作業が続きます。腰を痛める職人さんも多いのです。 |
3.地染め
型付けした生地をかわかして、その上から染料の入った糊(色糊)をしごいて地を染めます
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(色合わせ)地色がとても大切な江戸小紋です。そのため色糊の調合が大切です。季節やお天気によっても色の出方が微妙に異なると言います。過去のデータだけでなくや職人さんの経験と勘も大切ですが、さらに毎回一つの色を合わせるのに数回のテストをします。色によっては染料を4~6種類調合して合わせていくのです。 |
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(地染め)防染糊を置いた生地の上に色糊を置きます。 この時、色糊をヘラでしごいて置いていくので「しごき染め」といいます。 色糊をしごいた後は、糊同士がひっついたり色移りしたりしないように、生地全体にまんべんなくおがくずを巻きます。おがくずは蒸しの際に均等に熱と蒸気を含ませる役割もあります。 |
4.蒸し
蒸して染料を発色させ、定着させる
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 | おがくずを巻いた生地をジャバラに木枠にひっかけて蒸し箱に入れます。 |
5.水もと
水で糊を洗い流します
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 | 蒸しあがった後、糊を水で洗い流すと、最初に防染糊を置いた部分が白く、色糊で染めた地色には色が染まった、美しい江戸小紋の姿が現れます。 |
6.湯のし
水洗いした生地をよく干して、蒸気でそのシワを伸ばします
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 | 大きな蒸気のでるドラム型のアイロンような機械でシワを伸ばしながら生地の幅を整えます。 |
7.地直し
一通りの工程を終えた生地をよく検品して、ムラのある部分などを筆で修正します
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江戸小紋の染め工房には染め上がった反物の染めムラを目立たせないようにするため、筆と小刷毛できれいに修正する「地直し」をやっておられる職人さんがおられます。 地直し師は江戸小紋最後の仕上げ人で、文字通り目立たないのですが、その筆さばきの熟練した鮮やかさには息を飲むほどです。 仕事をすれば、これはオレが作ったものだ、という何かが残りますが、地直し師さんの仕事は仕事の跡が残りません。 「残らないことにプライドを持つ職人さんもいるわけなんです」と、永六輔さん著の「職人」(岩波新書)にそんな職人語録がありました。 |
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